
遠い過去の記憶 その6
あっという間に梅雨になってしまいましたね。
長野県の梅雨入りは時期的にかなり早いんじゃないのかな??
さて、この前の「遠い過去の記憶」シリーズの続きです。
その日は、朝からUCC上島珈琲の倉庫で荷物の積み込みをしていて、会社を出たのが8時半位だったと思います。
松本市内の今町と分銅町の間の橋の上で信号待ちをしていると、それは来ました。
橋が急に揺れだしたんです。
「エッ?!」と思い後ろを振り返ってみました。
橋の上で止まっていると偶に大型が通る度に揺れますよね。
あれだと思ったんです。
しかし・・・・
「エッ。大型いない。逆走する大型なんてあるはずも無いよな。」
と、思い前を見ると、電柱が今まで見た事もないぐらいしなっています。そして電線も暴れる・・・
なんだ?? もしかして地震??
慌ててラジオをいくつか選局してみましたが何の情報も流れて来ません。
「まあ。たぶん大丈夫だろう。」と言う安易な気持ちで木曽に車を走らせました。
少しするとラジオから木曽で地震があったと流れてきます。
「今、向かっているじゃん。木曽に。」
それでも「まっ、良いか。」で木曽谷に・・・
木曽福島は天気も良く空の青さは今でも覚えています。
しかし、しーんと静まり返っていました。
今までに味わった事が無い空気感。
車を降りて地面に足を付けると、途端に振動が伝わって来ます。
配達しながら言われるのは
「よくこんな時にきたねー。」「松本や塩尻方面はどんな感じだい??」「気をつけてな。」
等、心配してくれる言葉ばかり。
木曽福島を過ぎて三岳村に行く道中の喫茶店に足を踏み入れると、ママさんとホール係の女性が呆然としています。
「こんな時によく来たね。見てよこれ。」とママさんが・・
見ると床に亀裂が・・・ そして、その先の壁にも亀裂。
喫茶店のホールで左右真っ二つに割れています。
これにはさすがに言葉が出ませんでした。
そこの配達を終えて三岳村から大滝村に通ずる道をひた走ってみました。
人々は家から出て路肩に座っています。
振り向く人はごく僅かで皆さん目がうつろです。
そして鳥や犬の鳴き声もしません。
そこからいったん引き返し公衆電話を探しました。
かろうじて使えそうな電話ボックスは傾いてガラスはバリバリに割れています。
UCC上島珈琲に電話を入れて何を話したかは記憶にありませんが
「配達が終わるまでは帰らない」と言った言葉だけは覚えています。
そこから南木曽までいつものコースをひた走り早めに帰って来ました。
その晩だったと思いますが、テレビで震度は7位と言っているのを記憶しています。
また、大滝村の工事現場で土石流に流され16名の方が行方不明、その他相当な広範囲に被害が出ていた様です。
よく大災害の中配達していたなー。店の人達はそれどころじゃないのに迷惑だったんじゃないのかなー。怖いもの知らずって事なんでしょうね。
大変な思いをした一日でした。
この震災でお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りいたします。
